こんにちは、HSP&エンパス歴32年目、マインドコンサルタントの関根(@cekineco)です。
求人にはある程度のコストがかかり、中小企業では人を1人雇い入れるのも大変です。しかもすぐに辞められてしまうようでは、せっかくかけたコストも水の泡になってしまいます。
従業員の入れ替わりが少ない会社もあれば、しょっちゅう従業員が入れ替わってしまう会社もあります。この違いはなんだと思いますか?
こちらをご覧ください。
退職の本当の理由で一番多いのは「人間関係」で、次に「評価・人事制度」「給与」「社風や風土」「拘束時間」と続きます。
つまり、従業員がしょっちゅう入れ替わる会社はまず人間関係に難があると言ってもいいんじゃないでしょうか。そして人間関係にプラスし、新人教育の制度も甘かったり、教育そのものができない会社だったりします。「見て覚えろ」というのは、もう昔の話なんです。
仕事の大変さはある程度人間関係でカバーできる
仕事内容が理由で退職する人は上の図では「8%」となっていますので、100人中8人は仕事がしんどい、やってみたけど合わなかったというのが理由かと思います。
ですが、僕はこの8%のうちの半分以上は、会社の人間関係が良ければ回避できたのではないか?と考えています。
人間関係が良ければ、多少の仕事の大変さはカバーできるのが人間です。「先輩も頑張ってるから自分も頑張ろう!」と自分自身を鼓舞する人だっています。
また社長や上司との関係性もそうです。社長や上司に対して信頼や尊敬しているのであれば、「この会社にお世話になっているから、なんとか貢献できるように頑張りたい」と立派な気持ちを抱きながら必死に頑張っている若者もいます。
会社の雰囲気や人間関係の良し悪しを決めるのは社長です。つまり、社長の責任です。
従業員とのコミュニケーション
社員数が数十名の会社であれば、社長と従業員が同じフロアで仕事をしたり、会話をしたりする機会はあるかと思います。
社長は、従業員に対して何を想い、何を考えて接していますか?
会社の売上ですか?自分自身の評価ですか?
経営者ですから会社の売上を気にするのは当然のことなのですが、必死に頑張ってくれている従業員の気持ちを考えない社長は「ワンマン」と呼ばれます。
僕が法人の経営コンサルやカウンセリングを受け持つときは必ず最初に社長と従業員の関係性を見ます。従業員の顔を見れば会社に対してどう思っているか、社長の考えを聞けば従業員に対してどう思っているのかがわかります。
そして明らかに社長(経営陣)と従業員との間に溝がある場合には、社長に対してこんな質問を投げかけてみます。
従業員が今抱えている悩みを知っていますか?
私生活でなにかトラブルを抱えていないか考えたことはありますか?
すると多くの場合はハッとした顔をします。
社長(経営陣)は会社の長であり、従業員を束ねる責務があるのです。従業員を束ねるというのは、円滑に業務を行えるように心のサポートやモチベーションを高める工夫もしていくということです。
社長は優良な顧客との取り引きを考えたり、数字とにらめっこする時間も多く大変なのは僕もよくわかります。しかし人間関係に難のある会社は、従業員全員は会社のために仕事をしているわけではなく、自分自身の生活のためだけに仕事をしているのです。
従業員の基本の思考はそこです。
会社のことを考えるとすれば、クビにならないように頑張らなきゃ、社長や上司にガミガミ言われるから頑張らなきゃ程度であって、結局は自分自身の生活のために仕事をしているのです。
この会社に絶対に貢献したい!何が何でも会社を大きくしたい!と考えている従業員はほとんどいません。
従業員のこの考えは悪いことでもおかしなことでもなく、当然のことです。お金を稼がなきゃ生活ができないわけですからね。
そのために自分の時間を売って働いているのです。
従業員の思考を変えたり、少しでも会社のことを考えてもらいたいのであれば、人間関係を良くし、従業員と円満なコミュニケーションを取っていく必要があるのです。
指揮が下がれば売上も下がる
プロ野球の世界では、チームの士気が下がればチームは負け、チームメイトや首脳陣との関係が悪ければチームは崩壊すると言われています。
会社も同じです。
従業員のモチベーションや士気が下がれば売上は下がってきます。社長(経営陣)は焦り、従業員に対してイライラして従業員との関係の悪化が深刻化します。
これは大きな痛手です。企業は従業員あって成り立っているということをここで心の底から認めなければいけません。
コミュニケーションが苦手な社長ができること
『コミュニケーションが大事なのは分かっているけど、どうしたら良いかわからないんです』と話す社長もいます。
社長がコミュニケーションスキルが高ければ今頃こういう悩みは抱えていないでしょうし、なんとかしたくてもどのようにコミュニケーションを取るか、どのようにして人間関係を良くしていくかを実行していくのは難しいものです。
ですが、コミュニケーションが苦手な社長でもできることがあります。
それは社長の右腕(トップ2)にコミュニケーションスキルの高い役員(経営陣)を置くという方法です。
社長の意図を汲み取る能力と従業員の士気を高める能力を持った人を自分のすぐ下に置くだけで会社全体の雰囲気が変わります。
従業員は会社に対する不満もそうですが、必ず言いたいことがあるのです。それが会社の成長に繋がる意見かもしれないのです。
そのトップ2の人材が従業員と社長のクッション役になり、従業員の気持ちはトップ2に言える仕組みを整え、トップ2から社長へ伝えます。そして社長は、従業員にやる気になってもらえる仕組みを必死に考えてください。
従業員から見て嬉しい仕組みを考えたら、それをトップ2に伝え、トップ2から従業員に伝わるようにします。そのときにトップ2となる人材は、社長の株が上がるように伝えることで従業員は社長を見る目が変わります。
無駄な経費を使わずに人材にお金を使う
このトップ2を置く方法は、アミューズメント施設の経営コンサルを受け持ったときに僕が実際に行なっていた方法です。
最初は業務委託での通常の経営コンサルティングでしたが、ある日役員として会社に加わって欲しいと仰っていただきました。
社長と従業員の関係性は最悪で、毎月毎月赤字の会社でした。僕はそこでホームページ制作、チラシ制作、求人、従業員の教育、取引先との交渉などなど、ほぼすべての業務を行ないました。
そして当然売上が上がるような仕組みを考え、無駄な経費はどこまでもカットし、売上や従業員のモチベーションに関わることだけに予算を使いました。
従業員からは毎日のように社長の愚痴(悪口)を聞きましたが、社長が裏で行っていることや社長が従業員のことを思う気持ちを社長のいないところで言い続けました。
もちろん本当は社長は従業員への気持ちなんてありませんでしたが、僕は従業員の前で敢えて社長の株を上げていたのです。
そして社長には、「従業員にはこう言ったから、そういう社長になってほしい。そして頑張ってくれている従業員にインセンティブをつける予算を作ってほしい」と打診しました。
結果的に売上は2ヶ月目で2.5倍になりました。
好かれようと思わなければ、本音で従業員とも語れますし、社長にも話せます。この時の僕の責務は、社長や従業員に好かれることではなく、会社としての組織をしっかり作ることと会社の売上を上げることですから、僕が好かれる必要などこにもないのです。
ただ、従業員のことを本気で考えればどんなに厳しいことを言っても嫌われないんです。むしろ、何でも話してくれるようになります。
このように、従業員とのコミュニケーションや会社の売上で悩んでいる社長は、無駄な経費を一切なくし、本当に必要のあることにお金を惜しみなく使ってください。
意味のあるお金を使えば、そのお金は何倍にもなって返ってきます。
トップ2を月給30万程度で雇えないのであれば、非常勤役員として外部の会社の人に依頼するのもひとつの手です。社長は自分自身の役員報酬を一時的に減額してでも、有能なトップ2や人材(従業員へのインセンティブ含む)にはお金を使うべきです。
小さい会社であればなおさら、トップ2の存在価値は大きくなりますので。